御所を散歩してしだれ桜をみてきた。
満開状態、平日なのに人も多い。
人混みを避けて写した写真に月も見える。
桜の話をしよう。
名前を「さくら」ちゃんと言う。
木の桜ではなく女の名前である。
名古屋大須近くのスナックバーで働いていた。
明るく陽気でピンクが似合う女だった。
着ている物は、いつもピンクの長いネグリジェである。
そう、ネグリジェを着た女の子がいる店だった。
私は18才、先輩の長島さんが連れて行ってくれた。
彼は埼玉から来ている人で一つ年上である。
埼玉弁があるのか知らない関東風訛りで面白く、気の良い人だった。
店に入ると2、3人のネグリジェを着た女がキャーキャー何やら名古屋弁で言い席まで引張って座らされた。
席に着いたとたん抱きつき、私の唇を吸い付きに来た女が「さくら」ちゃんだった。
それは、強烈濃厚なキスで口が「べちょべちょ」に濡れた。
それがさくらちゃんの挨拶だった。
高校生時代に好きな娘とキスして経験はあるがソフトでそっと触れる程度のものだったから、度肝を抜かれた。
京都から名古屋にきて間もなかったし強烈な名古屋弁にも圧倒され、異次元の国に来たと感じた。
先輩なしに、さくらちゃんに会いにいく日が多くなった。
日参するほどだった。
さくらちゃんから、夜の女は必ず約束はすっぽかすという事を身を以て教えてくれた。
キスをしながら股間にも手を伸ばして来て弄ぶこともする。
女人がそれをしても良い、そんな事も嬉々としてやる。
上に乗りながら教えてくれた。
白いハンカチが少しずつ桜色に染まっていくようでは無く、
ビールのシミが広がるだけであった。
19才なって間もなく私は名古屋を後にして京都に帰った。
ああ、さくらちゃん。
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