拾得で観て聞いたブルースバンドは、人生最高のブルースバンドだと思っている。

懐かしい思い出の中の一つにこの拾得がある。
憂歌団の話の中で新聞に出ていたらしい。

私は１９７５年アメリカ行く１年前ぐらいに拾得を知った。
７３年創業らしいから出来てすぐの頃やね。
古い酒蔵を改造して出来ていたので見た目は古かった。
私には見るもの聞く物が新しく新鮮だった。

私の妻になるアメリカ人の彼女に誘われて出かけてみた。
酒蔵の店の看板は、寒山拾得の絵が掛り「ふん、そう来たか」とデザインを生業としていた私は少し構えた格好で中に入った。

随分と混んでいた。
もうメインのブルースバンド演奏が始まっていた。
店の中央にある大きなテーブルを外国人たちが囲んで
それぞれが乗りまくっていた。
熱気が溢れ肩を揺らすもの、踊るもの、皆乗っていた。
演奏も凄くいい。
その後も何回かそのブルースバンドが出るときは、拾得に出かけた。
アメリカに行く事になり残念だが途切れてしまった。

自分自身ブルースと云う物にそれ程に興味は無かった。
ブルースを聴かせる喫茶店は当時多くあったし、
それを聞きにいく若者もタバコの煙でむせ返りそうになりながらうっとり指で調子をとっていた。
この雰囲気が馴染めなかった。
しかし拾得で一変した。

拾得でその時に観て聞いたブルースバンドは、人生で最高のブルースバンドだと思っている。
素晴しいブルースバンドだった。
名前は知らない。